武器

826 1/3 sage 2011/05/24(火) 21:28:51.79 ID:hmhcUm6a0
55だけど長文なのに読んでくれてありがとう。
今日は武器の話を一つ。

中3の途中から今までは受験勉強が忙しくて中断したが、
俺は小学生からその中3の間まで、先生から多くのことを学んだ。
オカルトに興味が無かった俺も、その間に先生が凄い量の知識を持っているのは分かってきた。
そして、多くの術的な道具も所持してるんじゃないか、と気になってきた。
陰陽師の話なんかではさ、悪い霊と戦う為の武器とか定番だよね。
あれだけ多くの知識量を蓄えているなら、武器の一つや二つも持っていて不思議じゃないよね。

それで俺は勉強の合間に、先生は何か凄い武器を持って無いの?と聞いてみた。
今思えば、子供にしても俺は、馬鹿な事を聞いたものだ。
先生は笑い、武器というと、どんな武器のことかな、と聞き返してきた。
悪い術者や霊と戦う為の武器、と俺は答えたと思う。
その時の先生は、何とも言えない表情をしてた。
そして暫らく考え込んだ後、有ることは有るよ、と教えてくれた。
けれども、それは絶対に見せられないし、どんな物かは教えられない、と。

そもそも呪術的な武器とは何かと聞かれた場合、普通の日本人はなんて答えるかな?
陰陽師の話を読んでいるならば、符なんて連想するんじゃないかな。
他には清めた水だったり、塩だったり。
しかし実際の武器は、そんな生易しいものじゃないよ、と言っていた。

以前、先生が台湾に行った時、道士が祭壇にある物を飾っていたのを見た。
それは何ですか、と先生が聞くと、これは我々道士の武器だと説明してくれた。
どのような形状かは、ここで書けない。
ただ、それは非常に強力で、使うと付近の霊を全て粉々にしてしまう、と。
だから使用する時、もし近くに式神を使役しているならば注意しなくてはならない。
敵味方など関係無く、辺りの霊を全て蹴散らしてしまうから。

827 2/3 sage 2011/05/24(火) 21:29:20.35 ID:hmhcUm6a0
また、とある国で造られている呪術の剣も非常に力が強い、と教えてくれた。
製法からして、非常に怖い。
最初に、その刃を造るための鉄を、墓場へ長い間、埋めておく段階から始まる。
墓場というのは陰の気が非常に強いからね。
原材料となる鉄に、その陰の気を長い間かけて染み込ませておくんだ。
しかも、その製作中に、その刀身に特殊な呪術を施して行く。
その国では、このような道具を作る術者が数多い。
そして、この剣は製作者の術者の力量が並でも強力になってしまう。
ましては高度な術者ならば、非常に強力な剣になるんだ、と。
神であっても低位ならば、恐れさせることも可能だ、とね。
更に、もし式神を使役している術者が所持する場合になると、
その式神をも恐れさせるため、お前達に剣を向けない、と最初に安心させる必要がある、と。

だから先生は言ったんだ。
術者はいざという時のために、強力な武器を持つ必要がある。
けれども同時に、武器を持つ行為自体が非常に危険であるのを自覚せねばならない、と。
例えば、そんな武器を所持して外出する場合、行き先に注意する必要がある。
特に心霊スポットなんかは行かない方が良いね、と。
そんな強力な武器を見せびらかして歩いたら、霊に喧嘩を売るような物だから。
その地に棲む霊達に対する挑発に他ならないんだと、先生は言っていた。
所持者本人にその気は無くても、と。
霊が霊を呼び、強大な力になって、自分に向かってくる場合だって有りうるから。

そして、絶対にしてはいけないのが、荒神を祭る場所への所持。
例を挙げると、日本なら平将門公を祭る場所へ持ち込んだら、大変な目に遭う、と。
その所持行為は、宣戦布告とみなされてもおかしくない。
しかも神様というのは、傍に多くの者達が控えているからね。
平将門公ならば、多くの兵の霊を引き従えているだろう。
しかも一人一人が、長い間に力を蓄えた一騎当千の強者だと。
術者が個人で使役する式神とは、比べ物にならない程の力を蓄えている、と。
そんな荒神に仕える多くの霊達が、無礼者に対して一斉に攻撃を仕掛けてくる。
そうなったら、どうにもならないね、と。

828 3/3 sage 2011/05/24(火) 21:29:51.83 ID:hmhcUm6a0
だから強力な武器というのは、同時に非常に危険なんだよ、と先生は教えてくれた。
時には所持しているだけが、とても怖いくらいにね、と。

しかし面白いのが、強い武器であれば強い武器であるほど、使う頻度は下がるという事実。
道士の方々も、前述した以上に強力な武器を、数多く所持している。
けれども、そんな武器を本気で使用する機会など、滅多に無いね。
一生使うことも無いまま、終わってしまうのが殆どじゃないだろうか。
日本の警察官と一緒だよ、と先生は説明した。
勤務中に備品の拳銃を発砲せず、定年退職する人達が殆どじゃないかな。
酔っ払いや喧嘩を止める場合に、警棒を使う程度じゃないかな、と。

そして先生は、もしかして何か呪術的な武器が欲しいの?と聞いてきた。
俺が、うん、欲しいと素直に答えると、先生は男の子らしいね、と笑った。
じゃあ、だからこそしっかり勉強しなくてはいけないよ、と。
武器を使うには、冥律という基礎をしっかり身に着けねばならない。
これは様々な術式と同じなんだ。
人間社会だって武器の扱いを取り締まる、銃刀法があるよね。
同じように、冥律を犯さないよう、武器の携帯に注意せねばならない、と。

しかしね、仮にそんなものを持ったとしても、あまり変わらないよ、と言った。
先生自身が若い頃、強い武器を初めて手に入れた時は、とても心躍ったそうだ。
これで自分も術者の仲間入りだ、とね。
たとえどんな敵が現れても、今の自分なら負けることは無い、とか。
しかし、しばらく所持して分かったんだが、使う機会なんて無いんだね。
先生自身、別に敵対する術者がいるわけでも無いし。
強力な敵に出会う機会があるわけでも無いし。
現に入手してから、今まで殆ど使ったこと無いんだよね、と。

だから強力な呪術武器になるほど、埃が溜まりやすくて掃除が面倒なんだ、と先生は笑っていた。
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2017-09-17 23:14 : 怖話 : コメント : 0 :
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