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怒る女




私が、よく使うトンネルでの事をお話します。
その歩行者用のトンネルは、地下を通る道で出入り口は坂になっており、トンネルの中は照明のない昼間だと道も長くて薄暗く、
丁度その出入り口を見ると不自然に明るくてなんだか不気味でした。
わたしが遭遇した日も、その照明が点かない昼間のトンネルだったのです。
タイル張りの道はこつこつと足音が響き、後ろには誰も居ないのが分かりました。
すると前方から白い服の女性がやって来たので、そのいかにもな格好が怖くて堪らなかったのですが、ある程度近づくと顔色も表情もはっきりしていたのでひとまず安心しました。
ですが突然に、こちらを凝視したかと思うと、何かよく分からない言葉を叫んで来た道を物凄い勢いで走り去っていったのです。
正直「なんだあのブスは」と不愉快に思いつつも、なんとなく後ろを振り向きました。

すると自分の真後ろに真っ黒な服を着た女が、手には刃物を持って、さっき走り去っていった出入り口の方を睨んでいたんです。
その女の顔が何より恐ろしいのは、表情は普通なのですが、眼の向け方ひとつで失神しそうになるくらいの怒りが込められている事でした。
私は急いで、自分の来た道を走り去りました。
不自然なまでに明るい外は、あるいは天国のように思えたかもしれません。
けれど、その長い道のりを思うと、不安になるばかりでいつ刺されるのかと恐怖に足を取られそうでした。
ただ、女は私を一目も見なかったと思います。
私はなんとか坂にまで辿り着き、急いで上がりました。
先ほどまでは涼しさを通り越して寒気まであったのですが、息切れと暑さでだるいままにやっと安心できました。
ちなみに今もまだその道を利用していますが、以降遭遇した事はありません。



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2018-08-23 18:34 : 怖話 : コメント : 0 :
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