お産の神様

565 1 sage 2010/11/30(火) 12:40:55 ID:lxtabnxZ0
心霊と違うというかそもそも板違いかもしれなくて申し訳ない

息子の出産を控えて、かかりつけの産科に入院した
陣痛がまだ弱いので病室待機のはずだったのが
急速に進行して、陣痛室に入らず直接分娩室に運ばれた
カーテンを挟んで反対側のベッドには、もう先客がいるようだった

ナース「こちら(私)は初産婦さんですが進行が早いです」
助産婦「こっち(お隣さん)は経産婦さんだし、ダブルかなー
 お産の神様がいらしてるっぽいし、1人とも1時間くらいで産んじゃいましょうね」

 お産の神様…???
でも、とにかく痛くてそれどころじゃなくなった。
午前3時。開業医で産科の先生はひとりだけなので
先生はほんとうに産まれる直前まで呼ばれない
(翌朝以降の診察等に響くので)
夜勤のナースと助産婦さんのふたりだけで、
かいがいしく同時進行の二人の妊婦の対応をしてくれた

566 2 sage 2010/11/30(火) 12:41:59 ID:lxtabnxZ0


先に産まれたのはお隣さん
先生が呼ばれてすぐ、産まれたよー!という助産婦さんの声が聞こえた
ああ、良かったなーと思ったつかのま、カーテンがあいて、
生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた先生が走ってきた
赤ちゃんの身体は、なんか黒っぽい紫色。明らかに息をしていない
ナースが口の中の液体を吸入して、助産婦さんが足をつかんで逆さまにして、
背中をばんばんと叩きながら
「泣いて!お願い泣いて!!」と叫んでいる
赤ちゃんの身体は、紫からなんだか緑色っぽく変わっていく
こちら側に連れてこられたのは、器具の関係だったんだろうけど
私も付き添いに来ていた母も、自分達のことはすっかり忘れて
お願い、この赤ちゃんを助けて!と祈っていた
時間にして数分だと思うんだけど、とにかく長い時間が過ぎて
突然赤ちゃんがむせこんで、それから大声で泣いた
今まで泣いて泣いてと願っていたのが嘘みたいな大声で
カーテンの向こうから、赤ちゃんのお母さんが感極まって号泣する声と
よかったな、ってなだめる旦那さんの声が聞こえた
私も母も嬉しくて、よかったよかった、って手を取り合って喜んだ
そうしたらふっと、
「次はあなた、すぐだからね」という、うまく言えないんだけど
声?でもない、なんていうか、気配というか意思みたいなものを感じて
すぐにものすごい痛みといきみがきて(それまで忘れてた)
先生も助産婦さんも慌てて「すみません、お待たせしました」と戻って来てくれた
容態が変わるのを恐れて、赤ちゃんは私の隣に寝かされたままで
生まれたばかりの赤ちゃんにまで見守られるという不思議な出産だった
それからほんとうに数分で息子は誕生した
出産時刻はAM4:05。先に生まれたお隣さんはお嬢さんで、AM3:55
「1時間くらいで産んじゃいましょうね」という言葉どおりの時間に
3人の子供を産んだ母ですら、驚いていた

567 3 sage 2010/11/30(火) 12:46:11 ID:lxtabnxZ0


赤ちゃんの対応や後産など産後の処置も済んで、先生も自宅に寝に戻って
台風が通ったみたいに散らかった分娩室で、助産婦さんがため息をつきながら
「○○病院のお産の神様も、少しおやすみしてください。
8時になれば、昼勤のナースも助産師もたくさん来ますから」
場を和ませる冗談かなとも思ったけど、
そのときふっと、部屋の空気というか雰囲気が変わった気がした
例えると、風が吹いてたのが止まったような感じ
その日は午前中にあと3人(!)産まれるというラッシュアワーだったらしいけど
ちゃんと8時過ぎだったそうだ

その後数年して二人目の妊娠時
出産予定日過ぎても産まれる兆候がなく、羊水も減ってきてあまりよろしくないので
陣痛促進剤を使いましょう、という話になった
私が不安がるのを察して、入院は5日後ということに
医療行為として必要なのは説明を受けてわかっているけど、
とにかくその時は薬品に頼るのが怖くて、待合室で落ち込んでいた
そのとき、ふと、前の出産を思い出して、そういえばこの待合室は分娩室の真下だなぁ…と
「お産の神様、わがままですが、できれば自然に産みたいです。助けてください」
とお願いした。
翌日に自然に陣痛がついて、ふたりめも無事出産できた
ふたりめが生まれた日は、やはり午前中に4人産まれるラッシュだったらしい
娘が産まれる一時間くらい前にも、赤ちゃんの鳴き声が聞こえていた

助産婦さんの言う「病院お産の神様」っていうのは
出産が重なるって忙しいときの比喩なのかもしれないけど
産院というある意味天国から直結ルートのある場所には、やっぱり神様が
常駐してるのかなぁと思った体験
あの病院のお産の神様は、まとめて頑張っちゃうタイプなのかも


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2017-02-01 13:02 : 怖話 : コメント : 0 :
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